日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。
交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。
2015/05/25 11:06
さきたま古墳群の近くに「百塚」というバス停がある。
幕末に刊行された『増補忍(おし)名所図会』(忍は行田市の旧地名)に、「小き山形のもの凡(およそ)四五十ケ処も有、ことに当村に有物は大なるが多し、里俗これを百塚といふ」とあり、この付近に数十の「塚」があったと記されている。
この「小さな山形の塚」とは古墳のことで、今のように住宅地となる前は、広がる水田の中に林立する古墳は、異様な光景だったに違いない。
「塚」とは古墳を指す言葉ではなく、本来は地面が盛り上がった場所をさす言葉だ。古墳のように大きく盛り上がった場所は「大塚」で、実は埼玉県北部から群馬県南部にかけては、日本一古墳が多い場所であると同時に、日本一「大塚」さんの多い地域でもある。
ここにはもう一つ面白いバス停もある。それが「百塚」の隣の「富士山」というバス停。バス停近くの前玉(さきたま)神社のある小山を富士山に見立てたもので、中腹には浅間神社が勧請されている。
実はこの小山、当初は江戸時代関東各地に多数つくられた人工の富士山だと思われていたが、その後の調べで古墳であることがわかり、浅間塚(せんげんづか)古墳といわれている。