最近、必要とされている人材は「コミュニケーション力が高い人」ということをよく耳にします。実際、「コミュニケーション力が高い人」を目指し、努力している人がたくさんいます。ただ、一方で「コミュニケ―ション力」向上のために、頑張って話し、空気を読んで聞き役にまわるなど、本来とは違う自分を演じて疲れてしまっている人も少なくないようです。
どんな人とでも無理せず、自然に接するにはどうしたらいいのか。『誰と一緒でも疲れない「聴き方・話し方」のコツ』の著者である水島広子氏から、大切な4つのことを教えてもらいましょう。

■「コミュニケーション力」の勘違い

そもそも、コミュニケーション力って何なのでしょう?
一般的に、「コミュニケーション上手」な人というと、会話を盛り上げ話の中心にいるような人を思い浮かべます。そういう人と比べて「自分は口下手だから無理」と落ち込んでしまったり……。
しかし、コミュニケーションを行う場には必ず、相手がいます。単なる盛り上げ上手ではなく、相手と向き合い、その場その場での目的を考えながら、うまくやりとりする力がコミュニケーション力である、と水島氏は著書で述べています。

そもそも、コミュニケーションとは人と人とのふれあいだと考えれば、目的に応じて相手とうまくやりとりできることがコミュニケーション力だと言うことができます。それは必ずしも「輪の中心に入ってみんなを盛り上げる」という形だけではないでしょう。(11ページ)

コミュニケーションの役割がわかったところで、続いて、疲れないコミュニケーションのために心がけることを見ていきます。

Point①「自然」は嘘をつかないこと

コミュニケーションを行う上で、「無理なく」「自然に」というのは、多くの人の願いです。書店に行けば、コミュニケーションに関する本があふれていて、色々なテクニックを学ぶことができますが、そうしたテクニックを意識するあまり、かえって不自然な態度になってしまうことがあります。
例えば、初対面の相手が慣れ慣れしいと、たいていの人は警戒心を感じます。それは「自然さ」に違和感を感じるからです。つまり、「自然」な振る舞いを無理に演じないことが大切なのです。

しばらく会わなかった相手と久しぶりに会って、何のブランクもないように振る舞うのは、「自然」ではなく、むしろわざとらしいことなのかもしれません。(73ページ)

Point②「聴くこと」に集中すると自然体でいやすい

相手に対して「自然に振る舞わなくては」と思うほど、人は不自然でぎこちなくなってしまいます。それは、「自然に振る舞わなくては」という意識にとらわれてしまっている結果です。
人は、何かに夢中になっているとき、余計なことを考えず、ありのままの自分で目の前のことに向き合えるものです。その時、私たちは最も「自然」でいることができています。「自分はどう見られているだろうか」という意識は脇に置き、「聴く」ことに集中するのが最も自然に振る舞うコツなのです。

「今」に集中するときこそ、自然体の、ありのままの自分でいるとき。(79ページ)