入社後経理部に配属されて丸4年。仕事にはやりがいを感じている。でも去年から任されている法人税申告書の作成業務はどうしても好きになれない。先輩から教わった通り申告書作成ソフトに入力していけば書類はできるけど、本当はよく理解していないからモヤモヤ感が消えない。勉強する意欲はある。ただ申告書に書かれている小さな専門用語を見るだけで気分が萎えるし、やたらと多い「別表」の関連を追いかけるだけでゲッソリしてしまう……。

楽しくない法人税申告書の仕事

3月決算の企業では、4月から6月までが一番の繁忙期。決算関連業務から法人税や消費税の申告、株主総会と日程が目白押しとなります。中でも法人税申告書の作成は煩雑で難解、しかも膨大で、よほどの税金マニアでもない限り一度は尻込みしてしまう作業です。

もちろん多くの企業では、ある程度のデータ入力で申告書を作ってくれる業務ソフトを利用していますが、「実は良く理解していないので仕事がちっとも楽しくない!」という担当者も多いようです。
なぜ、法人税申告書を難しく感じるのか。
実は、申告書の作成に携わる多くの人が共通して直面する「3つのカベ」があったのです。

カベは乗り越えられる
乗り越えられないカベはない

本記事では『法人税申告書のしくみとポイントがわかる本』(高下淳子著)の内容に沿って、その「3つのカベ」を解説していきましょう。

1つ目のカベ──「税法用語」

法人税申告書では、一般的に使われている経理の科目を、法人税法で使われる言い回しに置き換えている用語があります。このような「税法用語」をまず整理して覚えてしまいましょう。
例えば、貸借対照表および株主資本等変動計算書の「繰越利益剰余金」を税務では「繰越損益金」という言葉で呼称しています。
このような「違うように見えて本当は同じ意味」の用語を覚えれば、スムーズに理解できます。
その他の会計用語と税務用語の主な対応関係には、以下のようなものがあります。

未払法人税等↔納税充当金
未収還付法人税等↔仮払税金
費用または損失↔損金

2つ目のカベ──「決算書とのつながり」

申告書の本質を理解するには、「決算書とつながっている」という視点が重要です。申告書は決算書に基づいて作成されるので、当然、両者には強い関連性があります。しかし申告書作成の作業に没頭していると、そのつながりを忘れてしまうことが多いので注意が必要です。
以下の書類同士が深く関連しています。

損益計算書↔別表四
貸借対照表↔別表五(一)
損益計算書の租税公課
損益計算書の法人税等↔別表五(二)

3つ目のカベ──「別表四と別表五(一)のつながり」

乗り越えるべき最後のカベは、別表四と別表五(一)の関係と構造、記入ルールを理解することです。多くの人がここで立ち止まってしまう、高く感じられるカベですが、各表の作成目的は何かという基本に立ち返って考えることがコツです。
 
『今までで一番やさしい 法人税申告書のしくみとポイントがわかる本』(高下淳子著)はこの「3つのカベ」の乗り越え方を入り口に、「法人税申告書をやさしく理解したい!」と思っているあなたの願いをかなえる1冊です。基本的なしくみと概要の理解のために、本当に大切なポイントに絞って解説している「今までで一番やさしい法人税申告書の本」でもあります。

カベを乗り越えたら、ますます法人税申告書のことを知りたくなって、仕事が楽しくなります。