人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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雑餉隈という駅

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2015/02/24 09:48

天神から西鉄大牟田線で太宰府に向かう途中に、「雑餉隈」という小さな駅がある。これで「ざっしょのくま」と読むなかなかの難読駅で、知らない限りちょっと読むことができない。各駅停車しか止まらないのだが、寄り道して降りてみた。



雑餉隈駅



雑餉隈駅名標


雑餉隈駅の住所は、福岡市博多区麦野。一方、「雑餉隈」という地名は隣の大野城市にあり、かみ合っていない。実は「雑餉隈」という地名は、福岡市博多区南部から大野城市西部にまたがっていたのだが、福岡市側が地名を変更したため、現在では「雑餉隈」という地名は大野城市にしか残っていないのだ。

「餉」とは「かれいい」と読み、炊いた飯を乾燥させた昔の携帯食糧のこと。「日本国語大辞典」によると、「雑餉」とは「人をもてなすための酒や食物。また、引出物や、贈り物」とある。

そのため、貝原益軒「筑前国続風土記」では、この地名の由来を、太宰府天満宮参詣の人が休息する所で酒食を商う店があったことによるとも、大宰府官人の雑掌がいたことによるともしている。

なお、近くのJR鹿児島本線にも雑餉隈駅という駅があったが、昭和41年に南福岡駅と改称している。

ちなみに雑餉隈は武田鉄矢の出身地としても知られる。
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