人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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武蔵七党と八高線(1)

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2014/06/16 14:58

武蔵七党という言葉を聞いたことがあるだろうか。「武蔵」とついているものの武蔵国だけにはとどまらず、関東平野の西部一帯に広がっていた同族系武士団のことである。

平安時代後期、関東平野には各地に多くの武士団があった。このうち、武蔵国を中心として広がっていた武士団を合わせて武蔵七党と呼んだが、七党といいながら、児玉党、丹党、猪俣党、横山党、村山党、西党、野与党、私市党、綴党と9党あり、どの7つを持って七党というかは定かではない。

武蔵七党に属する各氏族は、自らの本拠地の地名を名字として名乗っていた。実は、日本人がいつから姓とは別に名字を名乗り始めたかは定かではないが、この武蔵七党の名字使用は極めて早い例だと思われる。

七党のうち、横山党の本拠地は八王子市にあり、以前このブログでも紹介したが、児玉党、丹党、猪俣党の有力3党の本拠はJR八高線の沿線にある。そこで先日、児玉駅から丹荘駅にかけて歩いてみた。

八高線は、その名の通り八王子と高崎を結ぶローカル線だが、平成8年に高麗川駅以南が電化されてことで、以後高麗川駅を境に南北に分断された。南側の八王子−高麗川間は川越線と直通して多くの電車が走っている一方、高麗川以北は非電化のローカル線のままで、極端に本数が少ない。

児玉駅や丹荘駅は群馬県に近い八高線北部にあるため八王子からの直通電車は少ない。今回は東武東上線で小川町まで行き、そこからまず児玉駅に向かった。

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