人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

谷川健一氏について

2013/09/02 11:34

先日、民俗学者の谷川健一氏が亡くなった。氏が他の多くの学者と違うのは、アカデミズムの外に身を置いていたことだろう。平凡社の編集者から、在野のまま民俗学の第一人者となり、終始その姿勢を貫いている。

こうした知の巨人は、しばしば在野から生まれる。「牧野日本植物図鑑」で知られる植物分類学の牧野富太郎や、「大日本地名辞書」の地名学者吉田東伍など、知の遺産を残した先人も、在野の研究者から出発している(吉田はのちに早稲田大学の教授となる)。彼らのような突出した業績は、アカデミズムというある種の徒弟制度の枠組みからは生まれづらいようだ。

さて、民俗学者の谷川だが、晩年は川崎市に日本地名研究所を創設するなど、地名学の泰斗として知られた。

その谷川が90歳を目前に刊行したのが、『列島縦断地名逍遥』(冨山房インターナショナル)である。執筆した膨大な原稿の中から300篇を選んで地域別に配列したもので、本書を読むことで谷川地名学の根底にあるものを知ることができる。



『列島縦断地名逍遥』(冨山房インターナショナル)


この本の「はじめに」に、「地名は大地の表面に描かれたあぶり出しの暗号である。 (中略) 地名を掘り出すことで、人は失われた過去にさかのぼる」とある。

地名が大地に描かれた暗号であるなら、名字は人に刻まれた暗号である。地名と違って移動することはあるが、そこに記された謎を解くことで、一族の歴史を垣間見ることができるのだ。