人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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具志堅のルーツ

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2013/08/26 11:03

沖縄県を代表する名字は、と聞かれると「具志堅」と答える人が多い。実際には、沖縄の名字ランキングでは「具志堅」は27位にすぎず、最多の「比嘉」をはじめ、上位には沖縄独特の名字が他にもたくさんあるのだが、「具志堅」という内地ではありえない音の響きと、元ボクシング世界チャンピオンの具志堅用高の影響が大きいのだろう。

さて、日本の名字の大半は地名に由来している。本土の場合は他県の地名をルーツとして移り住んできた一族も多いが、沖縄の場合はほとんどが沖縄県内の地名がルーツだ。

「具志堅」も県内の地名がルーツで、今帰仁城近くの本部町に本部間切具志堅村という地名があった(間切は琉球独特の行政単位)。

今帰仁城から美ら海水族館方面に向かう途中に本部町具志堅があり、17世紀〜18世紀にかけてこの地域の地頭職をつとめた複数の氏族が地名をとって具志堅を名字とした。

また、本部町には真和志間切具志堅(今の那覇市)に由来する具志堅一族もおり、こちらは代々名前に「用」の字を使う。具志堅用高もこの子孫である。

この他、南城市にも具志堅地名があり、ここをルーツとする具志堅一族もある。



バス停・第一具志堅



具志堅地区公民館
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