人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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12代目市川団十郎死去

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2013/02/04 11:58

2月3日、歌舞伎俳優の12代目市川団十郎が亡くなった。66歳という年齢は、現代では短命の部類に入るだろう。

芸事の世界で一番の名家は、その創始者の末裔であることが多い。能楽の観世家、華道の池坊家、茶道の千家などはいずれも創始者の末裔。それに対して、市川家は歌舞伎の世界に後から入って来た家である。

初代団十郎の父は甲斐国の出で、戦国時代は小田原の戦国大名北条氏に仕えていたという。団十郎が段十郎という名前で初舞台を踏んだのは1673年のことで、すでに歌舞伎の世界は出来あがっていた。

初代は荒事で絶大な人気を得、さらに2代目が荒事だけではなく、和事にも冴えをみせ、7代目のときには歌舞伎十八番を制定して、団十郎家を梨園一の名家にまで押し上げたのだ。さらに9代目は明治時代に歌舞伎の近代化に貢献、近代歌舞伎の祖とも呼ばれている。

しかし、初代団十郎は45歳のときに楽屋で同僚によって刺殺された他、32歳で自殺した8代目や、22歳で病死した3代目と6代目など非業の死をとげた人物が多いことでも知られる。海老蔵時代に絶大に人気を得た先代の11代目も、団十郎を襲名したわずか3年目に56歳で死去しており、2代続けての短命となった。

なお、「市川」は歌舞伎上の名字で、戸籍上の名字(本名)は「堀越」である。
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