人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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カチカチ山の舞台

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2012/08/27 10:50

民話に「カチカチ山」という話がある。タヌキが媼をだまして婆汁を作って翁に食べさせたり、その仇を討つためにウサギがタヌキの背負っている柴に火をつけたりと、かなり残酷な民話である。そして、最後にはタヌキを泥の舟に乗せて川に沈めてしまう。

あまりに残酷なため、最近の子ども向けの絵本では、マイルドに改変しているものもあるという。

この民話、とくに場所を設定してはいないのだが、カチカチ山の舞台として売り出している観光地がある。

小説家太宰治に、民話を題材とした短編集「お伽草子」がある。この中の1つ「カチカチ山」で、「富士五湖の一つの河口湖畔、いまの船津の裏山あたりで行はれた事件」としたことから、河口湖と湖畔にある天上山がカチカチ山の舞台として知られるようになった。

タヌキが柴に火を付けられたカチカチ山が天上山で、最後に泥舟で沈められたのが、川ではなく河口湖であるという。

先日、河口湖を訪れた際に、湖畔から天上山に向かう「カチカチ山ロープウェイ」に乗ってみた。山上には休憩所「たぬき茶屋」や、狛犬のかわりに狛うさぎが控える真新しい「うさぎ神社」も建てられるなど、いかにも売り出し中という感じだ。



カチカチ山ロープウェイ乗り場



カチカチ山ロープウェイ


しかし、こうした安っぽい観光地的な建物とはうらはらに、河口湖を望む景色は予想外に絶景であった。


河口湖を望む
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