人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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『寛政重修諸家譜』を読む

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2012/05/28 10:59

ここしばらく、江戸時代の大名や旗本を調べるため、『寛政重修諸家譜』という資料を読んでいる。

『寛政重修諸家譜』は、幕府が大名・旗本達に系譜を提出させて出自別にまとめたもので、大名・旗本を調べるための基本資料である。この本のすごいところは、提出された系譜をただ並べただけではなく、当時の専門家達が一つ一つ考証して注釈をつけているところだ。

江戸時代の大名や旗本が、みな名門の子孫というわけではない。戦国時代を槍一本で乗り切った武将には、どこの馬の骨ともわからない人物はたくさんいたのだ。しかし、こうした武将の子孫も、江戸時代の官僚社会の中では系譜を提出しなければならない。

多くは、「出自不詳(先祖はよくわからない)」として提出したが、なかには適当な先祖をでっちあげた系譜類もある。それらに対しては容赦なく、「代数があわない」「先祖という人物がみあたらない」などと書かれているのだ。

『寛政重修諸家譜』を初めて読んだのは学生時代で、当時刊行中だった刊本を1冊ずつ購入して読んでいった。その後は必要な時に調べる程度だったが、今回は旗本の全貌を確認する意味もあって、30年振りに全巻に目を通してみた。

こういう解説のない基本資料は、読み手の基礎知識によって、得られるものが大きく違う。今回の再読では、それを実感することができた。
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