人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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続・色について

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2012/02/20 09:27

先週に続いて色について。

古代にあった4つの色は、四季と結びついていた。つまり、春=青、夏=赤、秋=白、冬=黒である。

夏と冬はわかりやすい。春は「伸びていく」というイメージから「青」なのだろう。春になると出てくる植物の芽や葉の色が緑、即ち青である。「青春」という言葉も、春と青の結びつきから生まれた言葉だ。詩人北原白秋の「白秋」という号も、秋と白の関係から生まれている。

戦国時代に永井白元という武将がいた。譜代大名永井家の祖である永井直勝の弟にあたる人物だが、「白元」と書いて「あきもと」と読むのだ。つまり、「白」は「秋」である、というのは常識だったのだろう。

また、東西南北とも結びついた。東が春で青となり、以下、南=夏=赤、西=秋=白、北=冬=黒である。皇太子のことを東宮という。これは皇太子の宮が宮殿の東側にあったからなのだが、漢字では「春宮」とも書いた。「春」にはこれから育つ、という意味もあり、春=東なのだ。

江戸時代の大垣藩主戸田家の初代藩主は戸田一西という。「西」という漢字は名字ではよく使われるが、名前では珍しい。この「一西」の読み方が「かずあき」である。「西」は「あき」と読んでいるのだ。

4つの方角にはそれぞれ守り神がいる。東は青龍、南は朱雀、西は白虎で、北は玄武。朱雀は鳳凰、玄武は亀に蛇が巻きついたようなもの。「朱」は赤のことで、「玄」は「黒」である。

こうして、色、方角、季節、守り神には密接な関係があり、それが名字や名前にも影響を及ぼしていることがわかる。
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