人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

鉢呂元経産相のルーツ

2011/09/12 10:17

いつものように、新内閣の大臣の名字をみてみようと思っていたら、書く前に早速1人辞任してしまった。しかも、内閣きっての珍しい名字である鉢呂吉雄経産相。「鉢呂」という珍しい名字に出会う機会はそうそうなさそうなので、ここで触れておこう。

鉢呂元経産相は北海道の新十津川町の出身。新十津川町という地名も、紀伊半島の豪雨と大きな関係があるところだが、今回はそれはさておき「鉢呂」である。この名字は、新十津川町に集中しているというわけではなく、道央から道北にかけて点々と分布している。

さて、北海道の人は移民の子孫が大多数を占めている。従って、そのほとんどは本州にルーツがある。しかも、東北・北陸・四国に集中しており、「鉢呂」のルーツも富山県である。

合掌造りで知られる富山県五箇山の下出地区(南砺市)。ここに平家の落人の末裔と伝える旧家の「鉢蝋(はちろう)」家がある。

一族は旧平村に広がり、明治維新の際に、本家が「鉢蝋」を名字とし、分家は「鉢呂」にしたという。そのため、「鉢蝋」は本家と近い親戚だけしかおらず、多くの分家の末裔が名乗っている「鉢呂」の方が多い。

さて、明治後半から昭和初期にかけて、富山県からは北海道に移住する人が多かった。鉢呂一族からも北海道に移り住む人達がおり、今では富山県よりも北海道に多い名字となっている。

「鉢蝋」の分家が「鉢呂」を名乗り、さらにその一族が北海道に移住、末裔からついに大臣を出して“出藍の誉れ”と書こうとしたら、あえなく辞任してしまった。