人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

●サイト(オフィス・モリオカ)
  → https://office-morioka.com/
●ツイッター
  → http://twitter.com/h_morioka
●facebookページ
  → https://www.facebook.com/officemorioka/
●Instagram
 → https://www.instagram.com/office_morioka/

 

Google MapとYahoo! 地図

このエントリーをはてなブックマークに追加

2011/06/14 09:24

私事だが、先日ケイタイをスマートフォンに変えた。Google のAndroid OS を搭載しているため、当然 Google Map が標準でインストールされている。

Google MapやYahoo!地図といったネット上の地図情報はよく利用している。できるだけ詳しい地図帳を買って海外の詳細地図をみたり、官報販売所で、まだ行ったことのない地域の地形図を買っていた中学生の頃と比べると、その利便性には雲泥の差がある。

なにしろ、日本国内はおろか、世界中の地図を無料で見ることができるのだ。

インドとスリランカの間に両側から伸びる長い砂嘴と陸繋島や、ノルウェーの内陸部に食い込むフィヨルドと無数の湖、アマゾン川の広大な河口と網の目のように広がる支流など、かつては見ることのできなかった地図をみることができる。これさえあれば時間をもてあます、ということはもはやないだろう(バッテリーの不安はともかく)。

しかし、さきほど世界中どの場所でも、と書いたが、これは事実ではない。Google Map では北朝鮮は真っ白で、いくら拡大してもなにも表示されないし、北方領土の部分も国後・択捉といった島名しか表示されない。

ところが、Yahoo! 地図では北朝鮮もきちんと地図が表示されるし、北方領土では、「羅臼崎」「東沸湖」(国後島)「恩根登山」「得茂別湖」(択捉島)といった日本語読みの地名が表示される。

この2社はともに自ら地図を作製しているわけではなく、地図会社からデータを購入していて表示しているにすぎない。ネットがあれば地図会社はいならい、という人がいるが、それは大きな間違い。地図会社がなければネット地図は存在しないのだ。

実は、地図上に北朝鮮や北方領土に限らず、紛争地域や国境問題を抱える場所をどう掲載するかによってその会社や国の考え方の一端が見えてくる。世界地図は国によって違うのだ。

すくなくとも、北方領土に日本語地名を掲載しているYahoo! は、日本の利用層を大きく意識していることは間違いない。
このエントリーをはてなブックマークに追加

ページのトップへ