人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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東海道を歩いてみた(18)

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2010/10/04 13:26

東名高速道路を渡ると道は下り坂となり、県道の手前で旧道に入る。ここからが蒲原宿だ。

「東海道蒲原宿」と聞いて、今の40代後半より上の世代(特に男性)が思い浮かべるのが、切手の「蒲原」だ。昭和40年代後半、大人から子どもまで日本中が切手ブームに沸いた。

とくに「切手趣味週間」シリーズと、「国際文通週間」シリーズには人気があり、前者の代表が「月に雁」と「見返り美人」、後者の代表が「蒲原 夜の雪」だった。

1960年に発売された記念切手「東海道五十三次之内 蒲原」は、1970年代には5000円近くもした。当然小学生だった筆者の手に入るような金額ではなく、切手商のケースに並ぶ本物にため息をつくのみだった。なにしろこの頃は、切手は利殖の一つとして大人が投資して売買していたのだ。

蒲原宿には、なんとこの「夜之雪」の立派な記念碑があった。温暖な蒲原にあえて雪景色を配し、二人の旅人と傘をさした一人の女性を描いたこの絵は、広重の「東海道五十三次」中でも最高傑作といわれている。



蒲原宿



「夜之雪」記念碑


なお、広重はかつては「安藤広重」といわれていたが、今の教科書では「歌川広重」となっている。広重は幕府の同心と浮世絵師の二足のわらじを履いていた。

同心としては本名の「安藤広重」だったが、浮世絵師としては歌川派の「歌川広重」として活動したため、現在では絵師としてとりあげる際には「歌川広重」とするのが一般的である。
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