人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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夏の甲子園出場選手の名字

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2010/08/09 10:27

7日から、今年も夏の甲子園が始まった。

いつものことながら、高校野球では各地の珍しい名字をみることができる。今年の夏の甲子園、最初にバッターボックスに入ったのは九州学院高の井翔平選手。名字は「井」で、「い」と読む。漢字一字の名字はたくさんあるが、読みも一字の名字は少ない。「井」は、こうした読みも一字の名字の中では一番数が多い。

井選手の出身中学は阿蘇市の波野中。「井」という名字は熊本県の阿蘇地方に集中している名字で、阿蘇市の隣の産山村では、村で一番多い名字が「井」である。つまり、「井」はそれほど珍しい名字ではないといえる。

では、一番珍しい名字はなんだろうか。注目の東海大相模高のエース「一二三」(ひふみ)は全国に意外と多い。鹿児島実のエース「用皆」(ようかい)や、故障中の砺波工のエース「健名」(けんめい)も珍しく感じるが、やはり地元ではある程度の数がある。

出場全選手の名字を調べたわけではないが、一番少ないのは、八頭高のセンター「壱村」あたりではないだろうか。あとは、倉敷商のライト「畳田」も珍しい。

ちなみに畳田選手の出身中学は倉敷市の下津井中。この付近は、畳表にするイグサの栽培で有名だ。いかにも高校野球らしい、地元ならではの名字である。
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