人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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菅大臣町という地名

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2010/06/14 09:37

菅首相誕生のあと、面白いニュースが流れていた。というのは、愛知県春日井市にある菅大臣町で、電柱に張られた広告に記載されている地名が「管大臣町」になっていたというのだ。

確かに「菅」と「管」は間違えやすい。名字でも「管(かん)」さんはそれなりにいるが、中には「管(すが)」さんも結構いる。本来「管」という漢字は「すが」とは読まず、「菅」からいつのまにか漢字が変化してしまったものだろう。

ところで、このニュースで驚いたのは、漢字のミスよりも、「菅大臣町」という地名がある、ということではないだろうか。しかも、実は「菅大臣町」という町名は全国に2つあるのだ。

1つは今回ニュースになった愛知県の春日井市。菅原道真を祀る神社があったことが地名の由来のようだ。

もう1つは京都市下京区。京都市には昔ながらの小さな町名が残っており、菅大臣町も40世帯ほどしかない小さな町だ。ここにも菅大臣神社がある。しかも、菅原道真の生誕の地で、神社は邸宅の跡と伝えている。

菅原道真は右大臣となったことから、「菅大臣」といわれた。当時は藤原氏全盛の時代で、菅原姓の大臣というのは珍しかった。従って、「菅大臣」ということで、菅原道真を特定することになるのだ。

同神社の「開運厄除御守」は菅首相も買ったという。今回の首相就任も、先祖の御利益かどうか。
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