人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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町家の雛めぐり

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2010/03/08 10:27

3月3日付高知新聞で「ひな人形2000体」という記事をみつけた。

カラー写真で紹介されている500体の人形が並んだ「天段のひな」は迫力がある。というのも、500体で1セットなのではなく、各家庭の雛人形を持ち寄っているため、お内裏様やお雛様がたくさんいるのだ。

この催しが行われているのは土佐街道。といっても場所は高知ではない。「日光街道」や「甲州街道」のように、「○○街道」といえば行き先を示しているのが普通だが、土佐街道を歩いていっても、土佐にはたどり着かない。なぜなら、土佐街道があるのは奈良県南部、吉野の麓の高取町なのだ。

土佐街道は、国道169号線に並行して南北に伸びる2キロほどの道で、江戸時代には大和高取藩のメインストリートだった。今でも、上土佐、下土佐という地名があり、神社や郵便局にも土佐の名を冠するところがある。

ここが土佐街道といわれるようになった由来は古い。6世紀の初めごろ、ヤマト王権の都づくりための労役として土佐から人が動員され、そのまま帰れなくなってこの地に住みついたのが由来という。

そういえば、司馬遼太郎「街道をゆく」の第1巻では、奈良の一言主という神様が土佐に流されたといい、土佐にはちゃんと一言主を祀った神社がある、ということを紹介している。

ちなみに、「森岡」という名字も、人口比で一番多いのが高知で、次が奈良。土佐と大和は、古代では意外と近かったのかも知れない。
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