人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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高座渋谷の忠犬デコハチ公

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2010/02/08 10:20

神奈川県大和市の小田急江ノ島線高座渋谷駅前にある複合ビル「IKOZA」に、ビンクの忠犬ハチ公像が設置された、というニュースが、地元紙などに出ていた。

テレビ番組の企画として作成されたもので、アクリル製ビーズや、粘土のスイーツなどで派手に飾られ、愛称は「デコハチ公」。番組終了後、スタッフが寄贈先を探した結果、渋谷駅と同名の駅ということで同駅が選ばれ、寄贈されたものだ。

同名の駅ということで高座渋谷駅が選ばれたのだが、この渋谷という地名、東京の渋谷のあやかってつけたわけではない。実は、地名としては、高座渋谷の方が先なのだ。

平安時代末期、桓武平氏の一族が相模国高座郡渋谷の地を与えられて、地名から「渋谷」を名字にした。その後、源頼朝に仕えた渋谷金王丸が新たに武蔵国に領地を与えられ、住んだところが「渋谷」という地名になった。

つまり、東京・渋谷のルーツは、今の高座渋谷なのだ。ちなみに、渋谷から青山方面に登っている金王坂も、渋谷金王丸の名前に由来している。

渋谷一族は、各地に領地をもらい、全国に広がった。渋谷という名字の人のルーツをたずねると、ほとんどは高座渋谷に行きつくことになる。

忠犬デコハチ公は、渋谷さんルーツの地で余生を送ることになる。
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