2009/08/31 10:55
30日、4年振りの総選挙が行われ、自民党がわずか119議席という歴史的な大敗北を喫した。
31日の新聞には選挙区別に各候補者の得票数が掲載されているが、実はここに掲載されているのは概数で、厳密には一部の選挙区では小数点以下の得票がある。それが、案分票といわれるものだ。
案分票とは、同じ選挙区から似た名前の候補者が立候補している場合、どちらか判別のつかない票を機械的に振り分ける票のことである。
一般的に、投票用紙に名字だけを書いて投票しても有効である。しかし、1つの選挙区から同じ名字の候補者が複数立候補している場合は、名字だけではどちらに投票したのかわからない。そこで、こうした票は、二人の得票数に応じて比例配分するのだ。
たとえぱ、1つの選挙区から「山本」さんが2人立候補しており、その得票が6対4だったとしよう。この場合、「山本」とだけ書かれた投票用紙は、0.6票と0.4票として両候補に加算される。
たとえば、愛媛3区で自民党と民主党の両方から「白石」さんが立候補しており、「白石」としか書いていなかった票は案分された。
小選挙区制度では1人しか当選しないため、比例配分される案分票が当落を左右することはないが、市議選などでは同姓の候補が多いうえ、僅差で争われることから、案分の行方が当落を決めることもあり、落選した側が不服を申し立てて裁判になることもある。
今回の選挙では、複雑な案分事例もあった。山口1区の候補者は、自民党候補が「高村」と書いて「こうむら」と読み、民主党の候補は「高邑」で「たかむら」。「高村」は普通「たかむら」と読むし、「高邑」という名字は珍しいため、「たか村」「こう邑」といった書き間違いが出る可能性が高い。
こうした票を無効にするにか案分するのかでは、当落を左右する可能性が高いとして、事前に選挙管理委員会が統一見解を作成して、開票所に指示を出しているようだ。
山口県選挙管理委員会のサイトによると、当選した自民党の高村正彦候補の得票は、142,103.117票、落選した民主党の高邑勉候補の得票は94,253.880票と、小数点以下3桁まで記されている。