人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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イチロー選手は長男じゃない!?

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2008/09/22 10:09

17日(現地時間)、マリナーズのイチロー選手が8年連続の年間200本安打を記録した。これは、実に107年振りのメジャーリーグタイ記録である。

107年前といえば、20世紀の初頭。当時は野球のルール自体が今とはかなり違っており、現行のルールでいえば史上初の記録といってもよい。これで、またひとつ、イチロー選手はメジャーリーグ史上にその名を刻んだ。

ところで、イチロー選手の本名は「鈴木一朗」。「一郎」ではなく「一朗」なのだが、名前の意味としては同じ。「一」はもちろん「一人目」で、「郎(朗)」は「男」。合わせて「長男」という意味なのだが、実はイチロー選手には兄がいる。つまり二男なのに「イチロー」なのだ。平成以降は、暗黙の決まりごとを無視して命名することが増えたが、イチロー選手はその“はしり”ともいえる。

また、「一郎」や「二郎」と同じ意味の言葉に「太郎」「次郎」があるが、これなどはもはや意味を知らない人の方が多いかもしれない。

かつては、「石原慎太郎」「石原裕次郎」ときけば、慎太郎が長男で、裕次郎が二男なのは誰でも理解している約束ごとだった。しかし、今では「〜太郎」と生まれた順番の相関関係はないに等しい。「二男なのに太郎なんですね」というと、「?」という怪訝な顔をされてしまう。

いずれ、「郎=男」「子=女」といった関係も崩れてしまう時代も来るかもしれない。
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