人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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常用漢字表に188字を追加

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2008/07/22 10:00

7月15日、文化審議会の漢字小委員会が、常用漢字表に188字を追加し5字を外して2128字にする、という暫定案を了承した。

今回追加される188字には、思わず「今までなかったの?」といいたくなる漢字も含まれている。特に目立つのが地名や人名の漢字。中でも「岡」「奈」「熊」「鹿」「阪」「茨」「阜」「媛」「梨」「栃」「埼」の11字は都道府県名に使われており、「社会でよく使われる漢字」という常用漢字に入っていなかったのが不思議だ。この他、那覇の「那」や、近畿の「畿」、韓国の「韓」も今回の追加組。小学校の教科書でも漢字で書かれており、テストでもひらがなでは正解にしてもらえないだろう。

人名関係では、「藤」が今回追加される。日本一多い名字が「佐藤」であるのをはじめ、「伊藤」「加藤」「斎藤」「後藤」「近藤」「斉藤」「遠藤」「藤井」「藤原」と、上位50姓に10個も「藤」のつく名字が入っている。新聞をみても、「藤」のつく名字の人が登場しない日はおそらくなく、やはり今まで対象外だったのが信じられない。

この他では、「亀」「須」「鶴」「臼」は人名でも地名でもしばしば目にする。「葛飾」の「葛」や、「嵐山」の「嵐」も、地名が有名なだけに、広く使われているといっていいだろう。

いきすぎたかな書きは、誤解のもとにもなる。無理に旧字体や難解な漢字を使う必要はないが、固有名詞は正しく漢字を使用したいものだ。
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