人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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テニスの錦織選手が最年少勝利

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2008/04/21 09:45

インドのニューデリーで行われていたデビスカップのアジア・オセアニアゾーンで、日本の錦織圭がマヘシュ・ブパシに勝ち、18歳3か月15日という日本デ杯史上最年少勝利を記録した。気になるのは、やはりこの名字の読み方。報道によると、「にしこり・けい」のようである。

「錦織」という名字の由来は、漢字をみればわかるように、「錦」を「織」ったことで、職業姓の一種である。古代では機織りは重要な技術職で、これを担当した氏族からは「服部」というメジャーな名字も生まれている。

「錦織」も「服部」ほどではないが、結構多い。現在では島根県の出雲地方に集中しており、全国順位は1500位前後。

ところが、この名字には色々な読み方がある。公家の錦織家が「にしごり」と読む他、古代から今の滋賀県に住んでいた一族が、「平家物語」で「錦古里」と書かれていることからも、本来は「にしこり」か「にしごり」だったのではないか。のちに漢字表記の影響で、「にしきおり」が増えてきたのだろう。

現在では、少年隊の錦織一清は「にしきおり」、かつて新党さきがけの衆院議員だった錦織淳は「にしこおり」、背泳で日本記録を出したこともある錦織篤は「にしこり」と読むなどいろいろ。声楽家の錦織健のように、本当は「にしこおり」なのだが、正しく読まれないために「にしきおり」を使用している、という人もいる。
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