人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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京都市営地下鉄が太秦に延伸

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2008/01/24 11:55

16日、京都市営地下鉄東西線が西に2駅伸び、太秦天神川駅まで開業した。

京都は地下鉄の開通が遅かったことから、従来京都観光はバスが主役で、観光タクシーを使うことも多かった。しかし、これで市内を南北に抜ける烏丸線に加え、東西方向も太秦から山科を経て、JRや京阪にもつながった。今後、観光客の足も車から電車にシフトしていきそうだ。さらに、3月末には新駅の近くに嵐山電鉄も新駅を開業予定。そうなると嵐山にも接続し、ますます便利になる。

通常、地下鉄は市民の通勤・通学や、ビジネスマンの営業で利用されることが多い。東京の銀座線や丸の内線は、平日の昼間でも仕事客でいつも混雑している。もともと建設費が高い地下鉄は、こういった日中の乗客がいないと、なかなかペイしないのが実情だ。しかし、京都の場合は、“観光客”という要素も大きく、他の都市の地下鉄とはやや事情がことなっている。地下鉄とはいえ、観光客の利用しやすい路線をいかに建設するか、が大事なポイントになるのだ。

ところで、この「太秦」という地名はかなりの難読である。東映の撮影所や、弥勒菩薩で有名な広隆寺などがあることから読める人は多いが、通常「太秦」から「うずまさ」という読みは連想できない。地名のルーツには諸説あり、はっきりとはしないようだ。

この地域は、古代に中国から渡ってきた秦(はた)一族が本拠としたところ。秦氏は3世紀頃に秦(しん)から渡来したといわれる一族で、先進的な技術で大和朝廷に仕えた。一族は各地に広がったが、その居住地には滋賀県の旧秦荘町(現在の愛荘町)など、「秦」のつく地名をつけたとされる。

「太秦」とは、おそらく元からあった「うずまさ」という地名に、秦一族の本拠地と意味で「太秦」の漢字を当てたものだろう。
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