人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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高校生ドラフト指名選手の名字

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2007/10/09 10:11

3日、高校生を対象としたドラフト会議が行われ、昨年より6人多い39人が指名された。楽天に外れてヤクルトに指名されて泣く選手がいる一方、広島がはずしてロッテに決まり大喜びの選手がいるなど、時代の変化を痛感したドラフトでもあった。

さて、指名された39人の名字で、あまり聞き慣れないものといえば、「唐川」(成田高→ロッテ)、「武隈」(旭川工→西武)、「丸」(千葉経大付高→広島)あたりだろうか。

この中で、一番珍しい名字はどれかわかるだろうか。

「丸」姓はルーツがはっきりしている。房総半島の先端に位置する千葉県南房総市に「丸」という地名があり、ここをルーツとする丸一族は、鎌倉時代に幕府の御家人をつとめるなど、名家として知られている。現在も千葉県南部に集中しており、全国順位では2800位前後と、珍しいとはいいがたい。丸選手の実家は南房総市に近い勝浦で、この末裔であることはほぼ間違いない。

唐川選手も千葉の出身だが、「唐川」姓は関東には少ない。この名字は広島と岡山県の県境付近に多い名字で、他には福岡県の甘木地方にもある。同選手のルーツはこのどちらかにありそうだ。全国順位でいえば5800位あたりで、どちらかといえば珍しい名字の部類に入る。

一番珍しいのは「武隈」姓で、全国順位では8200位あたり。武隈選手の出身は旭川の隣の東神楽町だが、この付近には武隈姓がある程度固まっている。しかし、北海道の名字の大多数は内地にルーツがある。「武隈」姓のルーツは富山県で、魚津市や黒部市が武隈姓の本拠地である。調べてみると、戦国時代の魚津松倉城の家老に武隈家があった。室町時代に越中に移ってきたものといい、大元のルーツは鎌倉のようだ。
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