人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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福田新総裁の家系

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2007/09/25 09:32

23日、事前の予想通り福田康夫元官房長官が第22代自民党総裁に選出された。25日には総理大臣に選任される見込みで、日本の憲政史上初めて、親子2代の総理大臣が誕生する。

宮沢喜一首相以降の9人の総理大臣のうち、社会党の村山富市首相を除く8人はすべて2世(3世)議員。この間、総理大臣になれなかった河野洋平自民党総裁も2世議員である。しかし、父親も総理大臣だったというのは福田康夫が初めてだ。

福田家のルーツは群馬県。戦国時代、上野国松井田城主の大道寺政繁の重臣に福田氏があった。在原氏の血をひく上州の名家である、箕輪城主長野業政の一族といい、のちに金古村(高崎市)に移住した。

時代は降って幕末、金古村に質屋も営む豪農福田家があり、明治になると当主福田幸助は金古町の初代町長をつとめた。この福田幸助の孫が、福田赳夫である。赳夫自身、祖父・父・兄と3代続いて金古町長をつとめたのちの政界出馬で、官僚からの転身とはいえ、2世議員に近い環境にあった。

福田新総裁からみると、祖父と曽祖父が町長で、父は首相、伯父が参院議員。姉の夫も元大臣、その子どもが現職の衆院議員。さらに妻の伯父は元衆院議長で、その父親は戦前の大蔵大臣。また、元総務庁長官の太田誠一は妻のいとこにあたるという、華麗なる政治家一族である。

石油会社の課長もつとめた庶民派とはいうものの、閨閥でみる限りは庶民とはほど遠いようだ。
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