人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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同窓会にて

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2007/07/18 10:21

15日、高知市で小学校の同窓会が卒業33年目にして開催され、1泊で参加してきた。

同級生の多数は中学校も同じ上、高校時代にも何度かは顔を合わしている。さらに、卒業後も地元にいれば当然会う機会もあったためか、顔をみただけでかなりの人が思いだしていた。しかし、私は中学から私立に行き、さらに転居したこともあって、本当に33年振りの再開。集まったメンバーのうち、ひと目でわかったのは一人だけ。話をしながら徐々に思い出す、という感じだった。

さて、この学校、高知市立初月小学校という。これで「みかづき」と読み、かなりの難読だ。明治時代は村1つに小学校1つ、というのが目安で、地方の古い小学校名は、旧村名であることが多い。初月の名前も村名に由来している。元々は、久万・万々・円行寺・柴巻という4つの村だったが、明治時代の市町村制施行の際に、小学校を運営できる規模を目指して合併し、「初月村」となった。



初月村は、高知平野の北西のはずれから、山間部にわたる地域で、村のまん中を流れる久万川が三日月型に流れていることから村名を「みかづき村」とし、漢字は雅字を宛てたもの。その後、高知市に合併した際に地名としては消滅し、今では小学校など、地域名を冠した公共施設に使われている程度だ。

命名の理由をみれば、平成大合併の新造地名と似たようなものだが、100年以上も使いつづけていると、なんだか由緒ありげにも聞こえる。

33年前、田んぼの中の1本道だった通学路は、今では住宅地の中。毎日遊んだ里山も「里」の部分はなくなり、川は護岸工事で土手におりれない。残っているのは「山」だけだが、それも一部は切り崩して東京郊外と同じような住宅地が広がっている。



小学校の前の久万川だけはいくらか昔の風情を残していた。小学生の社会科教育のためにも、ここだけは残してほしいものだ。
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