人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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渡辺さんのルーツ

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2007/04/03 11:32

3月末、所用で大阪に出かけた際に、渡辺さんのルーツである、大阪市堂島浜あたりを訪ねてみた。

堂島浜は梅田駅からも歩いていけるが、今回は泊った帝国ホテル大阪の隣にあるOAPから水上バスに乗った。ホテルを出てすぐの川岸が水上バスアクアライナーのOAP乗り場で、大坂城や中之島をまわって1週約60分で戻ってくる。今回は、堂島に行くため淀屋橋で途中下船。

OAPを出ると左に折れて寝屋川に入り、一旦大坂城に向かう。実は2日後には桜が満開になったのだが、この日はまだ3分咲き程度のため、客もまばら。大坂城が本来の発着場らしく、乗客の大部分の入替があった。ここからUターンして旧淀川に戻ると天満橋の乗り場。さらに天神橋のたもとで土佐堀川に入り、中之島を右手にみながら10分ほどで淀屋橋についた。

淀屋橋で水上バスを降りて土佐堀川を渡り、日本銀行大阪支店などを見ながら、中之島を西に行き、最初の大きな通りを右折したところで、堂島川に架かっているのが渡辺橋である。

このあたりは今では大阪市の中心部だが、かつては海沿いで、「渡辺」という地名も、この付近一帯のかなり広い地域をさす地名だった。しかし、現在では渡辺という地名は消滅し、「渡辺橋」や、交番・信号機などに名前を遺す程度になってしまった。
平安時代、ここを本拠とした嵯峨天皇の子孫(嵯峨源氏)が、渡辺党という同族集団を組織したのが渡辺さんのルーツ。リーダーである渡辺綱は、武勇にすぐれた人物として有名だったことから、渡辺党はその勢力を全国に広げた。

帰りは梅田まで歩いたが10分程。出張のついでにも充分立ち寄ることができる。大阪に出かけた渡辺さんはぜひ出かけてみては。

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