人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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東国原知事誕生

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2007/01/29 09:15

21日の宮崎県知事選挙では、元タレントのそのまんま東が圧勝で当選した。芸名で立候補したことから、当選したら史上初の姓名分割できない知事の誕生か、と思っていたが、当選を機に「そのまんま東」という芸名をやめ、本名の東国原英夫(ひがしこくばる・ひでお)という名前で活動することになった。

この「東国原」という名字、おそらくほとんどの人は聞いたことがなかったに違いない。全国でわずかに十数世帯ほどしかない上に、鹿児島県曽於市の旧末吉町だけにある名字だからだ。しかも、町内の深川地区に集中しているという、非常に狭い地域の名字である。

しかし、宮崎県知事となった東国原知事の生まれは当然宮崎県。実は、出身地の都城市と曽於市は隣あっており、昔から人の行き来がある。広島カープでエースをつとめた北別府選手も旧末吉町から都城市の都城農業に通っていた。おそらく、知事の何代か前に、末吉町から都城に移ってきたものだろう。

もともと都城周辺は島津氏の領地で、宮崎県内でもやや異質な地域。江戸時代も、都城島津家ともいわれた北郷(ほんごう)家が支配していた。そのため、名字も鹿児島県と共通するものが多く、言葉も諸県(もろかた)弁といって、宮崎弁とは若干違うという。実際、選挙活動中に使っていた宮崎弁は、多くの宮崎県人にはちょっと違和感があったそうだ。

「東国原」姓、一躍有名になったのはいいが、今後は宮崎県の名字と誤解されるかもしれない。
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