人名・地名 おもしろ雑学

日本で一番多い名字は佐藤で、2番目が鈴木といわれています。しかし、「本当?」と思っている人も多いのではないでしょうか。東京の周辺に住んでいる人は違和感がないでしょうが、関西の人だと、一二を争うのは山本と田中だろう、と思っています。

交通が便利になって、東京からだと、離島や山中を除いてほとんどの所に日帰りできるようになりました。でも、日本は狭いようで、まだ地域差は残っています。そんな日本を名字や地名からみつめ直してみたいと思っています。

著者プロフィール

森岡 浩(もりおか・ひろし)

姓氏研究家・野球史研究家。1961年高知市生まれ。土佐高校を経て早稲田大学政治経済学部卒。学生時代から独学で姓氏研究を始め、文献だけにとらわれない実証的な研究を続けている。一方、高校野球を中心とした野球史研究家としても著名で、知られざる地方球史の発掘・紹介につとめているほか、全国各地の有料施設で用いられる入場券の“半券”コレクターとしても活動している。

現在はNHK「日本人のおなまえっ!」解説レギュラーとして出演するほか、『名字の地図』『高校野球がまるごとわかる事典』(いずれも小社刊)、『名字の謎』(新潮社)、『日本名字家系大事典』(東京堂出版)など著書多数。

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名古屋のこと

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2006/07/24 10:07

 今夏から、栄中日文化センターで「名字と日本人」という講座を始めることになり、22日に第1回講座を行うために日帰りで名古屋に行ってきた。
 今年になって、やっと日本の景気も回復基調となってきたが、それ以前から名古屋だけは地元トヨタの絶好調もあって、元気な町だった。最近では、椙山女学園・金城学院・愛知淑徳といったお嬢様学校に中学校からエスカレータ式に大学まで進み、ブランドもので身を固めた“名古屋嬢”が話題となり、女の子の定番「リカちゃん」にも「名古屋嬢リカちゃん」が出ている。これほどプラス指向で名古屋が話題になるのは珍しい。
 名古屋といえば、“偉大なる田舎”といわれることが多かった。人口は二百万人を超し、東京・大阪・横浜に次ぐ大都市ながら、あくまで「地方」という扱いだった。もっと人口の少ない京都や神戸には地方感がないにも関らず、なぜか「名古屋」には地方がつきまとう。
 秀吉や信長という英雄を輩出した名古屋だが、その歴史はそれほど古くない。古代から栄えたのは市内南部にある熱田神宮のあたりで、東海道も熱田神宮のある宮宿からは、伊勢湾をはさんだ対岸の桑名まで「七里の渡し」の船で越え、名古屋は素通りであった。
 名古屋が栄えるようになったのは慶長15年(1610年)に名古屋城がつくられて、御三家の一つ尾張藩が誕生してから。以来、62万石の巨大藩の城下町として繁栄を見た。しかし、政治の中心の江戸、朝廷のある京都、商業の中心大坂などと違って、これといった特徴をもたなかったことから、その繁栄振りにもかかわらず、一地方都市としての扱いにしかならなかったのである。
 また、幕末に開港した横浜や神戸がハイカラなイメージで“新しい都会”の印象を獲得したことにも遅れをとっている。実は名古屋港での輸出入を合計した貿易額は年間11兆円を超え、横浜や神戸を抑えて5年連続日本一。港湾都市としても両市には全く後れを取っていないのだ。
 今回の名古屋滞在はわずか3時間ほど。新幹線と教室を往復しただけだったため、その元気振りは実感できなかったが、新幹線の待ち時間で覗いてみた名古屋駅の高島屋は、土曜日ということもあってか、かなりの人手で賑わっていた。

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