2006/07/03 11:30
沖縄では梅雨があけ、東京でも晴れた日には30度を超すようになった。いよいよ夏を迎えるにあたって、今回は一足早く夏の名字をみてみよう。
「夏」のつく名字で、一番多いのは漱石でもおなじみの「夏目」。全国順位は1,000位以内で、全国に1万人以上の夏目さんがいる。ルーツは長野県信州新町の地名で、清和源氏の流れを汲むものが多く、漱石の家系もこの末裔。のちに三河国(愛知県東部)に移って栄えたことから、現在でも愛知県東部から静岡県西部にかけて非常に多い。
2番めに多いのが「夏井」で、全国順位は2,500位あたり、人口でいえば5,000人程度。秋田県を中心に東北に多い名字だ。
実は「夏」のつく名字で一般的といえるのはこの2つしかない。この2つに続くのは、「夏山」「夏原」「夏堀」で、いずれも全国に1,000人ほど。「夏堀」は青森県独特の名字で、あとの2つは関西限定。これ以外で上位1万位以内に入るのは、やはり関西に多い「夏川」のみ。しかし、人口でみると、わずかに数百人に過ぎない。この他の「夏」のつく名字は、珍しい名字の部類に入る。
意外なのは「夏木」。テレビではおなじみなのだが、実際には兵庫県姫路市付近に若干集まっているのみで、それ以外にはほとんどない。確かに、夏木マリの本名は「中島」、夏木陽介は「阿久沢」、夏木ゆたかは「馬目」と、皆本名は別だ。
「夏」のつく珍しい名字には、「夏至」というものがある。石川県白山市にある名字で、江戸からこの地に移ってきた時、冬の寒さに堪え兼ねた先祖が、夏を待ち望んで名字を「夏至」に改めたという言い伝えがある。
また、「梅雨」にちなむものに「栗花落」という名字がある。これは、栗の花が落ちる頃に梅雨に入ることから、これで「つゆり」と読むもの。落語の“考え落ち”のような、ひねりのきいた名字である。瀬戸内海の小豆島や神戸市にみられる。