現場で使える IFRS導入の実務
発売日 | 2010.07.28 |
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著者 | 野口由美子/石井昭紀 |
判型 | A5判/並製 |
ページ数 | 288 |
ISBN | 978-4-534-04736-6 |
価格 | ¥2,750(税込) |
導入担当者が社内外の関係者と協力し、IFRSを導入するための実務が具体的にわかる1冊。立ち上げから開始貸借対照表の作成、IFRS改訂対応までを具体的に解説。IFRS導入のカギとなる「会計方針策定」や「システム対応」のポイントも紹介。
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詳細
はじめに
序章 IFRS導入以前に、最低限知っておくべき基礎知識
IFRSは投資家のための基準書
IFRSにおける財務諸表の種類
IFRSを導入することによるメリット
「原則主義」では専門的な判断が要求される
「資産負債アプローチ」では貸借対照表が重視される
IFRSでは「時価会計」が幅広く適用される
金融庁発表の「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」の読み方
第1章 IFRS導入の影響と導入工程を把握する
1-1 IFRSで経理実務・業務・システムが変わる範囲 22
IFRSは業務やシステム、内部統制にも影響を及ぼす
3つのIFRSの導入方法によって経理実務への影響が変わる
総合的な視点が現業業務への対応には不可欠
早期の着手がシステム対応には不可欠
1-2 経理部門、担当監査人、コンサルタント、SIerの協力が成否のカギ 28
IFRS導入プロジェクトの中心となる経理部門
IFRS適用の妥当性を判断する担当監査人
アドバイスだけではなく、実務もこなしてくれるコンサルタント
各社の異なるIFRSへの対応課題をサポートしてくれるSIer
四者の協力関係を構築することが成功のカギ
1-3 IFRSを導入するための工程は3段階に分けられる 35
IFRS導入プロジェクトの全体像
1 調査・計画段階では、優先順位を決めることが重要
2 計画実行段階では、会計方針の策定がカギ
3 運用監視段階では、IFRSをフォローするための体制・人材が不可欠
第2章 調査・計画段階1 0か月目 プロジェクトチームの立ち上げ
2-1 プロジェクトチームの立ち上げとプロジェクトマネジャーの任命 42
プロジェクトは経営者の理解を得ることからはじまる
プロジェクトの社内説明会で発足の承認を得る
プロジェクト憲章を作成する
プロジェクトマネジャーを任命する
2-2 プロジェクトメンバーの選出 49
プロジェクトメンバーを任命する
コンサルタント活用の準備をする
2-3 RFPの作成とコンサルタントの選定 53
コンサルタントにRFPを提出する
候補先と密接なコミュニケーションを図る
他社と比較できる提案書を作成してもらう
コンサルタントを選定・依頼する
2-4 キックオフミーティングの開催 58
キックオフミーティングを開催し、情報を共有する
第3章 調査・計画段階2 1か月目 各差異分析の立案と実施
3-1 会計処理の差異分析 62
会計処理調査項目(親会社)を検討する
親会社における会計処理差異調査の実施
開示調査項目(親会社)を検討する
開示差異調査(親会社)を実施する
3-2 調査延期項目についてのスケジュール立案 70
調査延期項目についてのスケジュールを立案する
3-3 グループ会社への調査 72
グループ会社の調査範囲を検討する
担当監査人に対する調査範囲説明会を開催する
調査項目(グループ会社)を検討する
グループ会社向けの質問票を作成する
差異調査(グループ会社)のスケジュールを立案する
会計処理差異調査(グループ会社)の実施
差異調査(グループ会社)の結果を集計する
3-4 システム影響調査 84
システム影響調査の調査項目を検討する
システム影響調査のスケジュールを立案する
システム影響調査を実施する
3-5 内部統制影響調査 93
内部統制影響調査の調査項目を検討する
内部統制影響調査のスケジュールを立案する
内部統制影響調査を実施する
3-6 差異分析結果報告会の開催 97
差異分析結果報告資料を作成する
担当監査人向け差異分析結果報告会では差異内容と影響額が重要
経営者向け差異分析結果報告会では結果と想定作業を説明する
第4章 調査・計画段階3 4か月目 方針とスケジュールの作成
4-1 全体計画案(シナリオ)の策定 104
プロジェクトのタスクを洗い出す
「経理」「システム」「内部統制」「業務プロセス」別に見積もる
4-2 シナリオごとのリスク分析 108
リスクの重要性をランク付けする
シナリオ比較表を作成する
経営者に対してシナリオ比較表を説明する
4-3 経理業務改善方針の策定 114
経理業務改善の方針は業務変更の中でも一番の大枠にあたる
経理業務を改善する方法
4-4 システム導入方針の策定 116
実施主体を明確にすることが重要
あくまで計画策定段階で判断できる範囲で考える
4-5 その他の方針の策定 119
内部統制報告制度への修正方針を決定する
変更する業務領域(現業部門)を決定する
グループ会社への展開方針を決定する
4-6 全体スケジュールの策定 121
業務変更のスケジュールを立案する
内部統制の経験を生かしてスケジュールを作ることができる
プロジェクト全体スケジュールを作成する
4-7 担当監査人、経営者、グループ会社に対する説明会の開催 126
スケジュールおよび業務変更方針の説明資料を作成する
担当監査人向け説明会では手続きや問題点をハッキリさせておく
経営者向け説明会ではコスト負担の説明が重視される
グループ会社向け説明資料を作成する
グループ会社向け説明会は経理責任者に対して開催する
第5章 計画実行段階1 7か月目 会計方針の決定と文書化
5-1 計画実行段階でもっとも重要な自社会計方針の策定 132
親会社会計方針を文書化する
5-2 適用初年度限定施策の適用対象の決定 135
開始貸借対照表の作成時に採用する会計方針を検討する
5-3 親会社開示項目の文書化 138
親会社開示項目(通常項目)を文書化する
親会社開示項目(重点項目)の文書化方針を検討する
親会社開示項目(重点項目)を決定する
5-4 グループ会社会計方針と組替え方法の文書化 141
グループ会社会計方針の文書化方針を検討する
中小企業向けIFRSに参考となる規定がある
グループ会社会計方針を文書化する
組替え手続を文書化する
プロジェクトから適時にフォローすることがグループ会社指導のカギ
5-5 判断の根拠が求められる新会計方針の説明 148
新会計方針説明資料を作成する
担当監査人向け説明会における合意はプロジェクトの最重要タスクの1つ
経営者向け説明会では経営者の意向とのズレをなくす
第6章 計画実行段階2 10か月目 新業務の定義、システムの改修、規程の改訂
6-1 業務スケジュールの詳細化 154
追加・変更対象業務を整理する
業務変更によるインパクトを分析する
インパクトを加味して、スケジュールを詳細化する
6-2 変更・追加する新業務の定義 158
新業務(変更)を定義する
新業務(追加)を定義する
6-3 システムの改修 161
個別システム改修を企画する
システム要件を定義する
システム改修を実施する
6-4 各規程の改訂と新業務説明会の開催 169
経理規程を改訂する
グループ会計処理規程を改訂する
その他業務マニュアルを追加・改訂する
内部統制文書を改訂する
新業務説明資料を作成する
経営者向け説明会では対応できなかった項目の説明が重要になる
第7章 計画実行段階3 7~30か月目 トライアル実施と開始貸借対照表の作成
7-1 新業務のトライアル(試用)実施 180
トライアルの詳細スケジュールを立案する
新業務のトライアルを実施する
整備状況や運用状況のプレテストを行なう
システムの動作を確認する
7-2 調査延期項目へのフォロー 186
調査延期項目対応スケジュールのアップデート
7-3 開始貸借対照表の作成 188
会計方針を最新化する
新会計方針を適用する
第8章 IFRS体制構築後の運用監視段階
8-1 各プロセスのモニタリング 194
モニタリング方針を策定する
モニタリング計画を立案する
モニタリング体制を構築する
モニタリングの方法によって評価指標は異なる
決算のモニタリングは重要度が高い
業務をモニタリングする
システムをモニタリングする
グループ会社をモニタリングする
8-2 内部統制部門との情報共有、抽出された課題への対応 207
内部統制の運用テストとの情報共有を図る
課題を抽出し、優先順位を付ける
課題に対する対応策を整理する
8-3 IFRS体制構築後1 情報精度の向上 212
人材を育成し、IFRSを浸透させる
決算の早期化は継続的に取り組んでいく
業務プロセスを改善する2つの方法
8-4 IFRS体制構築後2 制度変更への対応 219
IFRSの改訂をフォローする
確定基準書が公開されてから対応要否を判断する
第9章 各業務・システム設計におけるポイント1
~販売業務、購買・生産業務、資産管理業務
9-1 販売業務1 売上の計上基準は検討が必要 224
売上の計上基準は企業業績にかかわる問題
売上の計上基準を変える場合には変更対象業務の範囲を早期に決める
9-2 販売業務2 販売促進費は費用か、売上から控除か 228
業界の慣行による処理が通用しなくなる
販売促進費はできるだけ明確にしておく
9-3 購買・生産業務1 棚卸資産評価の方法は変更が必要か 230
評価損の処理方法に注意する
グループ会社のシステムも対応しなくてはならない
9-4 購買・生産業務2 標準原価や売価還元法が使用できないことも 233
計算結果の比較や分析が必要になる
業務プロセス上の対応が不可欠となる
9-5 資産管理業務1 耐用年数と減価償却方法は全面的に見直す 238
日本基準と大幅に変わる可能性もある
減価償却の見直しを業務プロセスに追加する
9-6 資産管理業務2 減損会計への対応は再検討 242
IFRSの手続きに従わなければならない
減損の検討手続きを変更しなくてはならない
9-7 資産管理業務3 借入費用は取得原価算入が必要な場合も 247
借入で資産を取得すると、利息を資産計上する場合がある
経常的に処理が発生する場合、業務を追加する可能性もある
9-8 資産管理業務4 研究開発費は研究費と開発費に分けて管理する 250
一定の要件を満たすものは「無形資産」として計上される
資産計上の要否は会社が積極的に立証しなければならない
9-9 資産管理業務5 リース取引はオフバランスできなくなる可能性がある 254
新しい考え方により、処理が大きく変わる
改訂基準書が確定してから調査をする
第10章 各業務・システム設計におけるポイント2
~財務管理業務、人事管理業務、決算業務
10-1 財務管理業務1 有価証券等の金融資産の評価方法が変わる 258
金融商品会計は複雑かつ頻繁に改訂されている
株式の売却が利益確保の手段として使えなくなる
10-2 財務管理業務2 機能通貨という概念がある 262
原則として機能通貨で記帳する
機能通貨と自国通貨をできるだけ一致させる
10-3 人事管理業務1 確定給付型退職給付は業績へのインパクトが大きい 265
基本的な考え方は同じでも計算方法は異なる
外部委託していても基本的な方針は自社で決める
10-4 人事管理業務2 有給休暇は費用計上 269
労働の提供に合わせて費用を計上する
有給休暇の処理に新しい業務追加が欠かせない
10-5 決算業務1 個別決算では見積りによる処理に注意が必要 272
見積りや判断が必要な業務が増大する
客観的な手続きを定め、手間がかからないようにする
10-6 決算業務2 連結決算では子会社、関連会社の取り扱いに注意が必要 276
連結の範囲が問題になる
新規連結会社への対応は優先課題となる
10-7 決算業務3 ダブル・スタンダードでの決算業務はどうなるか 280
一時的なものの負担は非常に大きい
決算業務プロセスを見直す
本書のまとめ
著者プロフィール
野口由美子/石井昭紀
イージフ社CFO、公認会計士。国際基督教大学教養学部社会科学科卒業。あずさ監査法人に入所後、おもに国内企業や外資系企業に対する日本基準及び米基準での監査業務を行なうとともに、米SOX法対応コンサルティング業務を行なう。その後、投資会社に入社し、会計・監査知識をもとに、M&A業務、投資先管理業務の分野において活躍する。
いしい・あきのり
イージフ社CTO、ITコーディネータ、PMP。京都大学大学院情報学研究科修士課程修了。PWCコンサルティング(現IBM)入社後、おもにERPおよび文書管理システムの導入プロジェクトに参画。